平成27年2月1日
教育勅語を見直し、道徳観の確立を
諸外国との比較から見える日本の若者像
内閣府は昨年6月に「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」を発表した。日本、韓国、アメリカ、英国、ドイツ、フランス、スウェーデンの満13歳から満29歳までの男女千人を対象に行われた調査であるが、他国と比較した際、次の項目で日本人の若者の回答が七ヶ国中最下位となっている。①家族とのつながり
・「父親は生き方の手本となる・尊敬できる」
・「家庭生活に満足している」
・「40歳くらいになったとき、親を大切にしている」
・「年老いた親をどんなことをしてでも養う」これに関しては、わずか19.7%に留まり、半数を占めているアメリカや英国とは非常に対照的な数字となっている。
②友人とのつながり
・「友人との関係に満足を感じている」
・「友人との関係に安心感を覚える」
③意欲・充実感
・「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」
・「社会のために役立つことをしているとき充実していると思う」
・「仕事・勉強にうちこんでいるとき充実していると思う」
・「職場・学校生活に満足している」
自己満足度の低い若者
このような家庭や職場・学校での満足度は、「自分自身への満足度」と相関があることがこの調査で指摘されている。「自分自身に満足している」と回答した日本人は45.8%で、アメリカの86.0%、英国の83.1%と比較するとかなり低いことがわかる。また、「明るさ」「やさしさ」等の十項目において「誇りを持っている」と回答した割合も、全ての項目において七ヶ国中最下位となっている。謙虚さを美徳とする日本人の精神の表れとも言えるかもしれないが、あまりにも他国との差が開いている。さらに、自己満足度の低さが将来への不安とリンクしており、「40歳くらいになったときに多くの人の役に立っている・出世している」との回答が他国では過半数を占める中、日本では三割程度に留まっており、「40歳くらいになったときに幸せになっている」の回答も七ヶ国中最下位である。家庭や職場、学校での満足度が低いため、自分自身への満足度も低く、それが将来への不安へとつながっている。
自己満足度は、学力とも関連している。昨年八月に国立教育政策研究所が発表した「平成26年度全国学力・学習状況調査報告書」によると、「自分にはよいところがあると思いますか」という問いに関する回答と、国語B、数学A、数学Bの平均正答率には相関関係があり、「当てはまる」と回答した児童と「当てはまらない」と回答した児童とでは正答率に最大で10.6%の開きが見られた。(小学校及び特別支援学校小学部第六学年が対象)
解決のカギは教育勅語にあり
若者の自己満足度を上げ、将来への希望を持たせるためには、家庭や職場、学校での満足度を上げることがカギとなるが、これらはすべて教育勅語の十二の徳目の中に示されている。「父母ニ孝ニ」(親に孝養をつくす)、「兄弟ニ友ニ」(兄弟・姉妹は仲良く)、「朋友相信ジ」(友達はお互いに信じあう)、「学ヲ修メ」(勉学に励む)、「公益ヲ広メ」(社会公共のために貢献する)等である。戦前まで行われていた「修身」は、偉人の生き方や言葉を用いながら、教育勅語を解説した授業であった。大人から子供へと語り継がれ、世代を超えた共通の道徳観がかつての日本には存在していたのである。『平成26年版自殺対策白書』には、「15歳~39歳の各年代の死因の第一位は自殺となっている。こうした状況は国際的にみても深刻であり、15歳~34歳の若い世代で死因の第一位が自殺となっているのは先進七カ国では日本のみで、その死亡率も他の国に比べて高いものとなっている。」とある。自己満足度の低さと自殺という悲しい選択は、決して無関係とは思えない。教育勅語の一節「之を中外に施して悖らず」(日本ばかりでなく、外国で行っても、間違いのない道)が示すとおり、世界各国で賞賛された「修身」の教えを、今こそ日本も取り戻すべきである。
イギリスの歴史学者であるアーノルド・J・トインビーは古代ローマ帝国の興亡を研究し、「国民の道徳心が失われた時にその国は滅びる」と警鐘を鳴らしている。日本人が古来から継承してきた伝統的精神を取り戻すため、教育勅語を再び見直すべきである。
こちらも合わせて読む
-
令和元年6月6日「校則は本当にブラックか?」
-
平成28年10月14日教員評価の困難性をいかに乗り越えるか
-
平成31年3月15日『学校へのスマホ持込の是非」