福岡教育連盟は教育の正常化を目指し、日々教育活動に励む教職員の集まりです。

私たちの主張

Opinion

平成2508

生徒指導・道徳教育の観点からネットいじめ対策を強化せよ

携帯・スマートフォンから引き起こされる諸問題

昨今、無料通話アプリ「LINE(ライン)」に関するトラブルやいじめが社会問題となっている。本年6月に公布され、9月下旬から施行される「いじめ防止対策推進法」にも、インターネットを通じて行われるいじめに関する項目が盛り込まれている。
しかし、ネットに関するトラブルは新たな問題ではない。平成16年に起きた佐世保小6女児同級生殺害事件も、ネット上の掲示板での書き込みに端を発している。その後「学校裏サイト」や「ブログ」等を介したトラブルがメディアで問題視された。「学校裏サイト」は、近頃ではあまり顕在化していないものの、パスワードを設けたり、警察が捜査できないよう海外のサーバーを使ったりといたちごっこを続けながら存在している。東京都教育委員会の調査によると、今年4月に裏サイトを検出された都内の公立学校は120校、不適切な書込み件数は1058件とのことである。
その他にもmixi、twitter、Facebook等のソーシャルネットワークサービスが新たに現れる度にネットいじめの温床となっており、それぞれに対策を講じても、追いつかないのが現状である。

ネットいじめへの対策

ネットに関するトラブルに対して、携帯電話事業者による、なりすましメールの受信拒否やURLフィルター等の予防策、各地方自治体によるリーフレット作成、相談機関の設置等、様々な取り組みがなされている。全国webカウンセリング協会は、いじめ対応アドバイザーの養成を行っている。
また、学習指導要領では、「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ実践的、主体的に活用できるようにするための学習活動充実」させるためにも、情報社会での適切な活動の基になる考え方と態度である「情報モラル」を身に付けさせる必要性が述べられている。

創始塾セミナーにおけるヒント

7月に開催した創始塾教育セミナーにおける金山健一氏の講演の内容の中に、ネットいじめにも対応できる具体的な方策が盛り込まれているので、まとめてみたい。
①包括的な支援モデル
1次支援として、広域の教育課程・年間計画で全生徒を対象に予防的・開発的な支援を行う。例えば、自分の意思を相手に伝える際、顔の表情や声の調子が重要であり、文字のみでは伝わりにくいことを教え、メールによるトラブルを予防することである。
2次支援として、問題行動を起こした一部の生徒に対し、担任のみが対処するのではなく、教師がチームとして支援することが重要である。そのためにも、教師間の足並みを揃え、日頃から連携を図る必要がある。
3次支援として、特定の生徒に対して、関係機関と協力しながら支援を行う。そのためにも、事前に問題行動に応じた関係機関を把握しておく必要がある。
②初期対応の重要性
いじめは、ある日突然発生するのではなく、何かをきっかけに徐々に進行する。問題を先送りにしないことが重要である。
③満足型学級づくり
「管理型」の学級集団では、常に教師の評価を気にするために、欲求不満や葛藤がうまれやすく、「なれあい型」には小グループがいくつも形成されることが多く、グループ間の対立が生じやすい、人間関係の軋轢やトラブルが多く、中傷や陰口が多い、社会規範より自分の所属するグループを大切にするといった、いじめの発生につながる特徴が見られる。学級内に規律やルールが定着し、人間関係が親和的な「満足型」ではいじめの発生率が低いことがデータで立証されている。(「いじめのメカニズムとその対応」福岡県教育センター)
ネットいじめという個別の事象の対策を講じるのではなく、学級経営、学校経営から生じた問題の一つとして考え、対応することが根本的な解決へとつながりそうである。

教育現場でできること

ネットいじめの対策は、法整備、携帯事業者による対策、家庭教育等それぞれの立場から相互作用しながら複合的に行う事が求められるが、教育現場では、学習指導要領に示される道徳教育を軸とした教育実践を行うことが考えられる。福岡県が掲げる「福岡の教育ビジョン」の第1次提言の概要には、今の子供の現状として規範意識の低下が見られ、その要因の一つとして、「学校では子どもの心に届き、響く道徳教育が不十分であること」が挙げられている。福岡教育連盟の10ヶ年行動計画の道徳教育分野における活動ビジョンでは、「現代社会の課題に常に対処するとともに、自ら正しく考え、自ら正しく判断し、自己の責任において行動できる」精神の育成を掲げている。道徳教育の教科化に関する提言等も含め、更なる道徳教育の充実に努めていきたい。

こちらも合わせて読む