福岡教育連盟は教育の正常化を目指し、日々教育活動に励む教職員の集まりです。

私たちの主張

Opinion

平成30年11月21日

「教職員の働き方改革」模索中

■働き方改革リーフレット
 九月初め、福岡県内の県立学校長宛に「教職員の働き方改革の取組の周知のための保護者・地域配付用リーフレット原案」が送付された。3月末に福岡県教育委員会から公示された「教職員の働き方改革取組指針」に則って、保護者・地域への周知を図ることが目的である。リーフレットでは、昨年六月から十二月に県立学校八校で実施した調査結果によると、約四人に一人の先生が月八十時間以上の超過勤務を行っている点にふれ、「教職員の働き方改革」を実現することが、教職員が自らの意欲と能力を最大限発揮することにつながり、「教職員が子どもと向き合う時間」を十分に確保することにつながる旨を述べている。その内容は、我々教師が深刻な勤務状態にあることへの理解を求める内容となっている。
■県立学校が推進する取組
 福岡県では教育の質の確保、業務の効率化を図るため次の四つを推進する、とリーフレットに記載されている。
 「定時退校日」
 「学校閉庁時刻」
 「学校閉庁日」
 「部活動休養日」
三月末の「取組指針」では、全日制で午後八時を目安とする「学校閉庁時刻」、年間最低三日を目安とする「学校閉庁日」を設定し、「定時退校日」を従来の月二回実施から週一回実施へ拡大するとともに、「部活動休養日」を平日一日以上、土日一日以上実施するという指針が示された。福岡県教育委員会は、今回配布されたリーフレット原案を、各校の実情や取組内容に応じて修正するなどし、保護者や地域の周知に活用するように求めている。
■部活動の位置づけ
 確かにこのリーフレットが保護者や地域に周知され、これらの取組に賛同が得られれば、教職員は勤務時間終了後の早い時間に退校しやすくなり、土日のゆとりも増えるに違いない。教職員の超過勤務縮減に繋がり、「教職員の働き方改革」を進める上では効果的と言える。しかし、県立高校の多くが「文武両道」を掲げ、学習と部活動の双方が充実した環境を学校の特色、私立高校との対抗軸として全面に打ち出し、活路を見出だしている。中学生の側にも「高校に入学したら学習も部活動もより本格的に頑張りたい」というニーズがあり、保護者にも「文武両道」を通した全人教育への期待がある。生徒募集をめぐる状況が厳しくなる中、今後の県立高校のあり方を考える上で「部活動」は重要な一要素であり、部活動休養日を議論する際には、部活動を通して学校の魅力をどう築いていくかという視点も併せ持たなくてはならない。
■「部活動休養日」のあり方
 リーフレット原案では「原則として、週当たり二日以上の部活動休養日を設ける」と記されているが、一口で「部活動」と言っても、運動部と文化部、また競技それぞれの特質によって練習のスタイルは様々であり、同質の休養日を一律に課すことは合理的ではない。「休養日」をどのようにとらえ、どのように活用していくのか。部活動それぞれの特質をふまえた研究を進める必要がある。以前から、定期考査前の部活動休止期間中に部活動単位で学習会を実施してきた部は少なくないだろうが、この「部活動休養日」を利用してミーティングや学習会を行ったり、リフレッシュのための活動をしたりする時間として活用できれば、プラスの効果が期待できるのではないだろうか。「部活動休養日」を文字通り、体をリラックスさせる日と捉え、そのような活動に当てる工夫は認められるべきではないか。
■生徒中心の働き方改革を
大切なのは「何が生徒の成長とって最善なのか」という視点であり、全人教育に対する県民の期待、負託である。生徒をめぐる教育課題が多様化、複雑化、困難化する中で、我々教師の勤務実態はますます多忙化し、教師間の有機的なつながり、コミュニケーションが希薄になりつつあるが、今こそ、生徒の成長を中心に据えつつ、我々教師の「働き方」はいかにあるべきか、大いに議論を交わすべき時ではないだろうか。

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